悪い男

 ひさびさの重厚な1本。本当に悪い男の話だった。日本ではこういう映画は'70年代に死滅したが、韓国ではまだ現役なのは頼もしい限りだ。最近のハリウッド映画はあたりさわりのない内容でまとめ、劇場を出て三歩歩けば忘れるようなものも多い中、実に示唆に富む一本。観客に「悪い男」の心理をより深く考えさせるため言語障害を持つことにした設定は、「監督の独りよがり映画」と片付けられてしまうのと背中あわせだが監督キム・ギドクは見事その賭けに勝利。すばらしい。
 なお、内容が内容なのでこれを読んで興味を持った人は一人もしくは同性の友人と行くことを勧める。