映画

モーターサイクル・ダイアリーズ

ゲバラ好きにはたまらぬ一品である。前から見たかったが、ようやく時間がとれた。 ロードムービーとしても真夜中のカーボーイに匹敵する出来栄えだが、なによりすばらしいのはその旅行がゲバラをその後の活動に駆り立てる原動力になった、という連続性に不自…

華氏911

出張先のサンフランシスコの劇場にて。 英語がわからんところも少なからずあったが、期待が大きすぎたせいか不満が残る結果に。映画的な娯楽性と政治的メッセージをうまく同居させるのは至難の業なので仕方ないところもあるが、作品としては凡作である。ただ…

デイ アフター トゥモロー

日本シーンの、ブレードランナーを彷彿とさせる看板のみ面白い。あとはまるでだめ。 バカをやるならバカをやるで、大統領が一人で台風の中央まで核爆弾を持っていって爆発させて一挙解決、というくらいに徹底してもらわないと。エメリッヒならそのくらいの芸…

シルミド

女子供はすっこんでろという言葉がこれほど似合う映画もそうはないだろう。ひたすらに男、男、男の世界を見事に描ききった傑作、70年代の東映の一連の作品世界に直結したすばらしい作品である。今年のベストはほぼ確定的。 しかしこういう匂いの、映画的な技…

トロイ

ブラッド・ピットのアキレスが敗因。スターがスター役をやっても面白みがまるでなく、歴史モノに必須の「画面の重み」が出ない。あの分なら奴はTシャツとグラサンで出演していてもほとんど違和感がないだろう(さすがにそれは言いすぎか)。ヘクトルと逆の…

ドーン・オブ・ザ・デッド

古典的名作から25年余り。冷戦が終わり、世紀がかわり、インターネット時代になろうとも、やはりゾンビはゾンビ。「噛み付かれたら感染」「頭を破壊しない限り死なない」というお約束を守りつつ、実にスピード感のあるアクション映画に仕上がった。ゾンビ史…

パッション

けったいな映画である。噂どおり、本当にひたすらキリストがむごい仕打ちを受けるだけの映画だった。金のかかったスナッフムービーである。 しかし、こういうのが話題を集めるというのは映画がまだ「見世物」としての魂を失っていないことの証明であり、ちょ…

エレファント

ガス・ヴァン・サントにほんのチョッピリでも価値を求めた俺がバカだった。パルムドールと監督賞を受けたということに踊らされた俺がバカだった。グッド・ウィル・ハンティングで奴の映画は二度と見ないと決めたはずなのについ折れてしまった。 なにしろ映画…

悪い男

ひさびさの重厚な1本。本当に悪い男の話だった。日本ではこういう映画は'70年代に死滅したが、韓国ではまだ現役なのは頼もしい限りだ。最近のハリウッド映画はあたりさわりのない内容でまとめ、劇場を出て三歩歩けば忘れるようなものも多い中、実に示唆に富…

マスター アンド コマンダー

まさに「海のグラディエーター」で、アクションは申し分ないのだがここで12歳の少年を出す必然がよくわからん。しかも片腕ないし。宣伝上もこの少年を強くプッシュしてるみたいだが、美少年が出て喜ぶのはお姉様方だけだし、血みどろの帆船バトルで喜ぶのは…

アドルフの画集

芸術と政治の選択で悩むヒトラーを描く、という着想は良いのだが、ジョン・キューザックが現れなかったから「消去法で」政治を選択した、という結末になってしまっているところがストーリー的には弱い。なにしろヒトラーなのだから、アグレッシブに政治に傾…

ニューオーリンズ・トライアル

ひさしぶりに面白い映画を観た。普通法廷ものだとどちらが勝つかは最初から明らかで、いかに劣勢を挽回していくかで魅せるわけだが、今作ではジョン・キューザックをかませることで3すくみの関係を作ったのが実に巧い。評決を誘導し、金で売るという設定も…

ロードオブザリング 王の帰還

当然のことながら見始めるときには前2作がどんな話だったかはあらかた忘れてるわけだが、基本的にこのシリーズは美術展覧会なので問題なし。しかしまあ、このシリーズは最初から3部作として製作されたわけだし、合計9時間というスケールは素直に感服だ。5…

SUPER8

せっかくクストリッツァなもので大いに期待していた(ならもっと早く観ろよとも思うが)が、どうやらこいつは映画ではなかったようだ。音楽全般、とりわけジプシー音楽に深い愛があることはわかったが、ストーリーは特になく退屈なだけ。ちゃんと映画を撮っ…

戦場にかける橋

改めてみてみたが、後半の展開がちとぬるい。ただ進むだけの3人組より、徐々に橋が出来上がる過程を描くのが常道なんじゃないでしょうか。

タクシードライバー

また観たくなったので思わず。これでたぶん5回目くらいかも。 悩みを解決するのは行動、ということをこれだけ深く説得する映画もあまりない。モヒカンも含めてね。何度観ても傑作だ。

 ラストサムライ

中盤までは地獄の黙示録みたいな映画だと思ったよ。渡辺謙がカーツ大佐で、トム・クルーズは最後に渡辺謙の思想を理解した上で、悩みつつも任務を全うするというね。 だが実際はそうはならず、信念を貫き、人生を完結させるために覚悟を固める姿をじっくり見…